研究概要 |
マントルかんらん岩とメルトの相互反応を研究した. 方法・手順は以下の通りである. (1)かんらん岩体,かんらん岩捕獲岩中のかんらん岩とメルトの反応物を記載し,組織および化学的特徴を明らかにする. (2)Mgに富む火山岩中にかんらん岩/メトル相互反応の証拠を探る. (3)かんらん岩/メトル相互反応の一般化. 対象物は以下の通りである. (1)ヘス・ディープ・ケイマン・トラフの海洋底のかんらん岩,トロクトライト,ガブロ. (2)オマーン・オフィオライト,トリニティー・オフィオライト,西南日本三郡帯,北海道神居古潭帯などの超マフィック岩体のかんらん岩およびクロミタイト. (3)日本列島各地,イラヤ火山(フィリピン)およびアバチャ火山(ロシア)のかんらん岩捕獲岩. (4)北海道渡島大島火山などのピクライト玄武岩. また,以下のような成果が得られた. (1)拡大速度を問わず,海洋底深部(モホ遷移帯)ではより初生的なMORBとかんらん岩の相互反応が起きており,ダナイト-トロクトライト-ガブロが生成され,未分化なMORB(修正された組成を持つ)が生成される.また枯渇しているMORBからもNa,Ti,H_2Oなどが濃集し含水鉱物などが晶出しうる. (2)クロミタイトの鉱物組み合わせ,組成から,同岩がメルト/ハルツバ-ジャイトの相互反応とマグマ混合によって形成されることがわかった.また,同岩の形成には系のCr/Al比が重要な役割を果たす. (3)ピクライト玄武岩は(1)のトロクトライトの噴出相であり,やはりかんらん岩とメルトの反応物である.
|