研究概要 |
われわれはこれまでにいくつかの物質(γ-MnO_2, α-Al_2O_3, α-Fe_2O_3,オケルマナイト・グループ等)の回折に散漫散乱を観測しその予備的な研究を行った。特にγ-MnO_2、α-Al_2O_3、α-Fe_2O_3はいずれも脱水反応生成物であり一次元の構造変化に基づく散漫散乱が、オケルマナイト・グループでは二次元構造不整に基づく散漫散乱が観測される。本研究の目的は、このような散漫散乱を解析し構造不整と相変化の関連を明らかにすることである。 平成8年度はドイツ連邦共和国・ハノーバー大学のRahman教授のグループと散漫散乱の共同研究を開始した。このグループでは最近散漫散乱のシミュレーションに画期的な方法とシステムを開発し、優れた結果を発表し始めている。平成8年度はRahman教授から上記のオケルマナイト・グループの二次元構造不整に基づく散漫散乱についての共同研究の提案があり、9月から共同研究を開始した。現在までに半定量的な解析を進め散漫散乱を与えるモデルの構築が行われている。この結果は平成9年3月にハンブルクで開催されるドイツ結晶学会で発表される(題目は:Interpretation der diffusen Streuung in Co-Akermanit mit Hilfe der videographischen Methode)。 またオケルマナイト・グループの固溶体Ca_2(Mg, Fe) Si_2O_7の変調構造の精密化を行い変調波のより正確な形を求めた。また平成7年度に導入した装置を用い、上記の固溶体で相転移に際して膨張率異常から予測された散漫散乱の測定を開始した。さらにオケルマナイト・グループで散漫散乱を与える別の固溶体(Sr, Ca)_2CoSi_2O_7の変調構造の解析が進行中である。
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