火山ガスの化学組織の連続測定は、噴火予知や噴火のメカニズムの解明などを目的として、すでに国内外で試みられているが、長期間安定なデータが得られた例はない。その原因は、火山ガスが高温、高湿、酸性のため、この様な条件下で安定に作動する化学センサーが開発されていないことによる。本研究では、前処理によって火山ガスの99%以上を占める高温水蒸気を完全に除き、乾燥ガスにした後、CO_2、SO_2、H_2を連続測定するという、全く新しい方法を採用し、平成7年度には装置の設計をおこない、部品を組み合わせて作成しつつある。 火山ガスのサンプリング・ユニットは、蒸気井の深さ20mまでテフロン管を下ろし、サンプリングする装置を新たに開発、設計して製作した。火山ガスから水蒸気を除く前処理には、2段階の空冷式ドレインセパレーター、冷却乾燥装置、半透膜を用いるパ-マピュアドライヤーを組み合わせる4段階の方法を採用し、分析計に導入するガスは-15℃の水蒸気圧まで乾燥できた。ガス組成の検出装置は、CO_2、SO_2には赤外線ガス分析計、H_2には半導体ガスセンサーを使用したが、サンプルガスがそれらの計器を順番に通過するように配管した。また、ドレインセパレーターから排出される凝縮水中に火山ガス成分が溶解している可能性を調べるため、凝縮水を採取できるようにした。実験室で組み立てた後、性能のチェックを行ない、問題がないようなら、伊豆大島火山のカルデラ内に掘削した蒸気井に設置し、現場でのテストに入る予定である。
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