研究課題/領域番号 |
07454143
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
中村 義男 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70000809)
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研究分担者 |
加美山 隆 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50233961)
河村 純一 北海道大学, 大学院・理学研究科, 講師 (50142683)
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キーワード | 金属-非金属転移 / NMR / ガラス / 中性子散乱 / 電解質水溶液 / 超イオン伝導体 |
研究概要 |
化学結合性が大きく異なる物質の混合系のいくつかについて、広い濃度範囲の溶液をつくり、そのいくつかについてはガラス化を試み、その物性を調べた。平成7年度に得られた研究成果の概要について以下に述べる。 1)金属セシウム-アンモニア系:この系が示す金属-非金属転移に注目しつつ、セシウム核のNMRを組成と温度の関数として測定した。伝導電子の非局在化の進行がナイトシフト、スペクトルの線幅にあらわれ、同時に行った電気伝導度の測定結果と良く対応していることが分かった。また伝導電子の非局在化は金属が2モル%付近から始まり、系全体が金属化する濃度(4モル%)にさきがけていることが分かった。 2)硝酸リチウム-グリセロール系:この系の濃度溶液にいたる広い濃度範囲にわたって、粘性係数とモル電気伝導度を温度の関数として測定した。両者はVTF理論によって良く表わされ、パラメターTOはガラス転移温度より約50度低いことが見い出された。この系の作るガラスはグリセロール分子の水素結合によるネットワークにイオンが取り込まれて、溶媒分子とイオンの運動が強く結合していることが分かった。このことは中性子準弾性散乱の測定からも確かめられた。 3)ヨウ化銀-ヨウ化アルキルアンモニウム塩系:AgI-CsI-(CH_3)4NI系のガラス化試料について中性子準弾性および非弾性散乱の測定を行い、この有機-無機混合系超イオン伝導ガラスの動的性質を調べた。低温度で銀イオンの運動にもとづく励起状態を観測した。また準弾性散乱スペクトルの線幅より、伝導性の銀イオンの局所的な運動についての知見を得た。 以上の結果は、「異質な化学結合が混在する液体・ガラス系における電子とイオンの運動性」の統一的な理解のための基礎をなすものである。
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