研究概要 |
平成8年度の計画に従い、超音速分子線ミリ波分光装置を用いて分子クラスターのファンデルワールス(vdW)振動遷移の測定を行った。まずAr・HCNクラスターのVdW変角振動遷移基底状態から第一変角振動励起状態遷移を多数測定し、論文として報告した。核四極子定数の解析より、クラスターの構造が直線形から、VdW変角振動の励起によりT型へと大きく変化する事が明らかになった。次に、Ar・HCNの第一変角振動状態から第二振動励起状態へのホットバンドおよび、同位体種Ar・DCNのVdW変角振動遷移を測定し、結果を学会で発表した。これらの実験結果より、Ar・HCNクラスターの分子間ポテンシャル曲面の解析を現在進めている。 また、この装置を用いて、Ar・DCN,およびHCN・DCNクラスターの純回転遷移を多数検出した。更に放電ノズルを製作し超音速ジェット、グロー放電中に生成するラジカルクラスターAr・CSのVdW変角振動遷移の測定を現在行っている。 BWO(後進行管)光源とするサブミリ波分光器を製作し、GUNNダイオードを局部発振器とする周波数安定化計測装置を製作した。これにより、サブミリ波領域での高精度の分光が可能となった。この装置によりAr・HCNクラスターのVdW伸縮振動遷移(〜700GHz)の測定を行なっている。
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