• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1996 年度 実績報告書

分子性アモルファス物質のラマン散乱強度と分子数密度の空間的ゆらぎ

研究課題

研究課題/領域番号 07454156
研究機関学習院大学

研究代表者

石井 菊次郎  学習院大学, 理学部, 教授 (30013543)

研究分担者 仲山 英之  学習院大学, 理学部, 助手 (00155889)
キーワードアモルファス / ラマン散乱 / 光散乱 / 密度ゆらぎ / 結晶化 / 結晶成長
研究概要

初年度に製作した真空容器を用いて、低温基板への蒸着により作成したアモルファス膜の結晶化にともなう、光散乱強度の変化の測定を継続した。その結果は、試料中に径が0.5μmの程度の結晶粒子が生成し、Mie散乱が起こっていると考えると理解できる。しかし、並行して行ったX線回折による研究からは、アモルファス試料中に生じる結晶粒子の径が20〜40nmであることが推定された。試料の結晶化にともないラマン散乱強度が増加することは、試料中での散乱によりラマン励起光の光路長が実質的に長くなったと考えれば定性的に理解できるが、X線回折と光散乱の結果をあわせて定量的な理解に到達するために、さらなる検討を予定している。
一方、アモルファス試料作成時の基板温度の違いにより、生成する試料膜の光散乱特性が異なることが推定されていたので、系統的にそのことを調べる実験を行った。試料物質にはクロロベンゼンを用い、蒸着時に試料膜厚が増加するにともなう膜中のレーザー光の干渉状況の変化をモニターした。その結果、78Kにおいては光学的に均質な膜が数10μmの膜厚になるまで形成されるが、それより低温では、光散乱をおこす光学的な不均一が膜内に生じやすいことがわかった。極低温で作成されたアモルファス試料のラマン散乱強度が小さいことの原因として、この試料状態の不均一が考えられ、現在、試料中の密度揺らぎのサイズ・振幅を求めることを検討している。
今年度の本研究では、さらに、固体アモルファス状態から液体状態への変化にともなうラマン散乱強度の変化を検証する実験を行うためのクライオスタットを新たに設計・製作する予定であったが、設計が難しく、まだ製作段階に入っていない。今後継続して作業を行う予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] H.Nakayama: "Low-frequency Raman spectra of disordered molecular systems" Physica B. 219&220. 517-519 (1996)

  • [文献書誌] K.Ishii: "Amorphous state of vacuum-deposited benzene and its crystallization" Bull.Chem.Soc.Jpn.69. 2831-2838 (1996)

  • [文献書誌] H.Kagawa: "New crystal form of an organic nonlinear optical material,8-(4^'-acetylphenyl)-1,4-dioxa-8-azaspiro-[4,5] decane (APDA)" Chem.Mat.8. 2622-2627 (1996)

  • [文献書誌] H.Nakayama: "Relaxational molecular motions in simple organic liquids : Studies with low-wavenumber depolarized Raman spectroscopy" J.Raman Spectrosc.28. 15-22 (1997)

URL: 

公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi