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1996 年度 実績報告書

振動分光学による生体NO作用機作の解明

研究課題

研究課題/領域番号 07454157
研究機関岡崎国立共同研究機構

研究代表者

北川 禎三  岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 教授 (40029955)

研究分担者 小倉 尚志  岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (70183770)
キーワード一酸化窒素 / グアニレートシクラーゼ / 共鳴ラマン / 振動分光 / NO伸縮振動
研究概要

一酸化窒素(NO)は生体内でアルギニンからNO合成酵素によって合成され、グアニル酸シクラーゼ機能をもつ酵素に結合すると、シクラーゼ活性が約200倍高くなる。GTPからcGMPをつくる反応はNO結合部位とは別の部位で触媒される。本研究では、ウシ肺の可溶性グアニル酸シクラーゼを単離・精製し、そのNO結合部位の共鳴ラマンスペクトルを測定した。新鮮なウシ肺のミンスより、イオン交換、ヒドロキシアパタイト、GTP-アガロース、ゲル濾過などのカラムクロマトグラフィーにより可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)を比活性にして5万倍に精製することに成功した。精製標品はSDS・PAGEで90%以上の純度であり、ヘム蛋白質に特徴的な可視・紫外吸収スペクトルを与えた。この標品にNO或はMnを添加すると、活性は著しく増大した。またヂフテリア毒素等でADPリボシル化を受け、活性は上昇した。その標品の共鳴ラマンスペクトルを406.7及び441.6nmのレーザー光で測定した。精製したままの状態では5配位Fe^<II>高スピン型の良好なラマンスペクトルが得られ、Fe^<II>-ヒスチヂン伸縮振動と思われるバンドが204cm^<-1>に観測された。これにNO気体を導入すると204cm^<-1>のバンドは消え、v_4バンドは1358cm_<-1>から1375cm_<-1>にシフトすると共にスペクトルパターンが変化した。^<15>NOで振動数シフトするバンドが525と1682^<-1>に観測され、それぞれFe^<II>-NO及びN=O伸縮振動に帰属した。この状態ではFe^<II>-ヒスチヂン結合が切れ、NOの配位した5配位ヘムが生成していることが示唆された。NOの配位した状態に基質のGTPを加えると、まず、NO伸縮バンドが見えない状態がしばらく続き、その後それが1682と1700cm^<-1>に2本現れる状態となった後、元と同じスペクトルを与えるようになった。その構造化学的な意味について、ミオグロビン-NO錯体のpH変化等を共鳴ラマン分光で観測しながら、理解を深めつつある。

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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