研究課題/領域番号 |
07454176
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
坂東 尚周 京都大学, 化学研究所, 教授 (70027027)
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研究分担者 |
寺嶋 孝仁 京都大学, 化学研究所, 助手 (40252506)
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キーワード | 高温超伝導体 / 構造設計 / MBE / 断面STM / 電荷貯蔵ブロック / PrBa_2Cu_3O_<7-δ> / SrCuO_2 / Sr(La)TiO_3 |
研究概要 |
本年度は高温超伝導体の構造設計にあたって基本的な構造ユニットになる、YBa_2Cu_3O_<7-δ>(YBCO)、PrBa_2Cu_3O_<7-δ>(PrBCO)、SrCuO_2、SrTiO_3などの分子層成長を行い、これらの酸化物を積層したときの界面での原子層配列について検討した。特にSrCuO_2については、純酸素ガスでは成長が困難であったが、マイクロ波で励起した原子状酸素を用いることで成長が可能になった。SrTiO_3上へYBCO、PrBCOを成長したとき、界面における原子層配列はSrO-TiO_2-BaO-CuO_2-(YorPr)CuO_2BaO-CuO_<1-δ>となっていることが明らかになった。これより、SrTiO_3などのペロブスカイト構造の酸化物の表面はBサイト金属の層が出ており(この場合にはTiO_2)、この上にYBCO、PrBCOなどを成長すると、BaO層が界面層、CuO_<1-δ>層が表面層になるように成長する。この結果から、PrBCOの上にSrCuO_2を成長することで、界面においてBaO-CuO_<1-δ>-Sr(O)の電荷貯蔵ブロックを形成し、SrCuO_2のCuO_2層にキャリアーをドープすることが可能になると期待できる。 また、断面STM観察に必要な導伝性基板として、LaをドープしたSr(La)TiO_3を選び、この上へのPrBCO、YBCO、SrTiO_3の成長を検討した。その結果、LaをドープしていないSrTiO_3上に成長したときと同程度の結晶性、特性をもつ薄膜を作製できることが明らかになった。また、YBCO/PrBCO/SrTiO_3/Sr(La)TiO_3などのヘテロ構造の作製も可能になった。本年度設置したSTMを用いて、薄膜の膜面方向からの観察を進めており、酸化物についてのSTM観察条件が明らかになってきた。現在、断面観察に必要な不活性ガス雰囲気を作るためにグローブボックス中での測定を準備中である。
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