研究概要 |
溶融炭酸塩燃料電池(Molten Carbonate Fuel Cell,MCFC)の電解質には溶融(Li、K)_2CO_3または(Li、Na)_2CO_3の共融組成が用いられることが計画されているが、特に後者がニッケルカソードの腐食が少ない点で注目されている。以前に前者の系の陽イオンの内部移動度を測定しているので、今回の研究で後者の系を中心に向流電気泳動法を用いて内部移動度を測定した。その結果全ての温度と濃度の測定範囲で、Na^+の移動度がLi^+の移動度よりわずかに大きいことが判明した。以前に調べた(Li、K)_2CO_3系の結果と合わせてLi^+の移動度をモル体積に対してプロットすると従来から提唱する経験式U_<Li>=〔A/(V_m-V_o)〕exp(-E/RT)によく合うことが分かった。ここで、V_mは混合塩のモル体積、A,V_o,Eは共存陽イオンにほとんど無関係な定数である。 また(Li、Na、K)_2CO_3の共融組成(43.5-21.5-25.0%)の移動度を温度を変えて測定した。その結果500℃でU_<Li>〜U_K<U_<Na>の順序で、600℃ではU_<Li><U_<Na>〜U_Kで、750℃では、U_<Li><U_<Na><U_Kになる。これらのイオンの伝導の結果は、従来、我々の提唱するDynamic dissociation modelにより良く説明できることが分かった。従って他の陽イオンの混合系についてもそのイオンの伝導挙動を予測できる。また、炭酸イオンの偏光ラマン分光の測定によりCO_3^<2->イオンの振動・回転緩和について調べたが、伝導機構と直接の関係は見いだせられなかった。
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