当初計画した7年度の研究計画の主要な位置を占める零磁場光検出磁気共鳴装置の制作はほぼ終了し、性能テストを一部残すのみとなり、稼働可能状態になりました。液体ヘリュム移送型石英窓付クライオスタットの部分のみ、制作途上に生じた温度安定性の問題点の解決のため一部設計を変更し改良を加えているので完成が若干遅れていますが、これも4Kまでの動作確認は終了し、8年3月末までには完成予定です。現在クライオスタットの部分と装置の一部設計変更により、当初予定したよりも計画全体に3-4カ月の遅れが生じており、予備的な実験結果しか得られておらず、本実験は4月に予定しております。また、液体ヘリウムの超流動状態での安定した測定を行なえるようにするのに、排気量のより大きなロータリーポンプが必要である事が判明したので、これは8年度の補助金で購入する予定です。一方、測定にもちいる試料の合成等は順調に進行しており、上記の装置が完成ししだい即刻零磁場光検出磁気共鳴の測定に移ることができる状態に達しております。また、励起波長等を確認する上での可視紫外吸収スペクトルの測定および一部の試料に関しては蛍光スペクトルの測定等も修了しております。また、合成した安定多スピン系有機分子の可視紫外吸収スペクトルの測定から、安定ラジカル部位をつけたことによる吸収波長のシフト程度からカップリングユニットとの相互作用の大きさに関する知見が得られました。
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