(1)ポルフィリンとキノンもしくはピロメリックイミドを両端にもち、両者をメチレン基で結合した長鎖状の超分子を合成した。また、この超分子に官能基導入し易いカルボキシル基を組み込むことにも成功した。 (2)設備備品として購入したLB膜作成のための装置を用いて、新規に合成した超分子をLB膜を形成しうる両親媒性分子と混合して、ITOなどのガラス電極表面上にLB膜を形成させた。 (3)超分子を含むLB膜の物性(可視・赤外吸収・酸化還元電位)を検討した。均一系極性有機溶媒中と大きな差がなく、単分子としてLB膜中に存在していることが判明した。 (4)定常的な蛍光発光分光法によって、LB膜中でのポルフィリンの蛍光が同一分子内のキノンもしくはピロメリックイミドによって大きく消光されていることが判明した。 上述のように、当初の計画した超分子よりも簡単な、すなわち、親油性アルキル鎖基や親水性原子団を超分子化合物に導入していないポルフィリンとキノン(またはピロメリックイミド)とを共有結合で連結したした長鎖状の超分子でも、LB膜を形成しうる両親媒性分子と混合することによって、LB膜を調整することが出来た。このようなLB膜の物性は予想どうりであり、光応答性電荷分離膜として有望である。 (6)さらに、合成ポルフィリンを電極上に修飾し、プラスにバイアス電圧をかけるながら光照射すると、電極上のポルフィリンが光励起されて、電子を電極側に渡して、アノード光電流が流れた。また、マイナスにバイアス電圧をかけるながら光照射すると、ポルフィリンが光励起されて、電子を電極側から奪い、カソード光電流が流れた。このような光電池を、光励起電子移動型超分子化合物に展開すれば、目的とする光応答電荷分離膜が作成できるものと考える。
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