研究課題/領域番号 |
07454196
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高橋 成年 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (70029875)
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研究分担者 |
武井 史恵 大阪大学, 産業科学研究所, 教務職員 (30252711)
張 世偉 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (60263323)
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キーワード | 面不斉 / シクロペンタジエニル錯体 / シクロブタジエン錯体 / 光学活性錯体 / コバルト錯体 |
研究概要 |
本研究では面不斉シクロペンタジエニル遷移金属錯体の合成法と光学分割法を確立し、面不斉錯体における金属活性点とそれを取り巻く立体制御場の構築、反応制御などを錯体化学の立場から基礎的且つ総合的に検討を加え、それら金属錯体の面不斉と金属の特性を反映した機能の探索を行うことを目的としている。本年度は、面不斉シクロペンタジエニルコバルト錯体に関する下記研究成果を得た。 (1)((-)ーメンチル置換シクロペンタジエニル)(テトラフェニルシクロブタジエン)コバルト錯体1aは、3種の不斉要素(炭素中心不斉、面不斉、ヘリカル不斉)を1分子内に持つ初めての錯体であることを既に見いだしている。今回、((-)ーメンチル置換シクロペンタジエニル)(テトラ(p-クロロフェニル)シクロブタジエン)コバルト錯体1bや(+)ーメンチル基を持つ錯体2を新たに合成し、それらのCDスペクトル、旋光性の比較や1bのX線分子構造解析などの結果から、シクロブタジエン環上のフェニル基がつくるヘリカルキラリティはシクロペンタジエニル環上のメンチル基が制御している確証を得た。即ち、メンチル基が4つのフェニル基の構成するプロペラに打ち込まれた杭の役目を果たし、プロペラの方向を規制し、ヘリカルキラリティを誘起していることを明らかにした。 (2)面不斉ジ(シクロペンタジエニル)コバルト錯体の合成、分割を検討し、面不斉((-)ーメンチル置換シクロペンタジエニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)コバルトセニウム錯体3の合成に成功した。更に、メンチル基を加水分解反応で除去し、カルボン酸誘導体を光学的に純粋なエナンチオマーとして合成・単離した。このカルボン酸誘導体から出発し、アミドやエステル官能基を持つ誘導体を面不斉錯体として合成することにも成功した。
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