研究概要 |
面不斉シクロペンタジエニル鉄およびルテニウム錯体の合成と機能研究を行い、下記の成果を得た。 (1)面不斉シクロペンタジエニル鉄錯体を光学的に純粋なエナンチオマーとして得るために、(1ーメントキシカルボニル-2-メチル-4-フェニルシクロペンタジエニル)鉄錯体[Cp^1Fe(CO)_2I(1)のジアステレオマ-を分離し、それらをフェニルアセチリド誘導体[Cp^1Fe(CO)_2(CCPh)(2)に誘導した。2にフェニルリチウムを反応させて、メンチル基を除去する方法で光学活性な面不斉シクロペンタジエニル鉄錯体をエナンチオマー(3)((R)-3:mp171.5-172.0℃,[α]=-221°;(S)-3:mp171.5-172.0℃,[α]=+221°)として合成・単離することに成功した。更に、1にジエチニルベンゼンや1,3,5-トリエチニルベンゼンを反応させアセチリド錯体に導く方法により、アセチレン架橋2核、3核の面不斉シクロペンタジエニル鉄錯体を合成した。 (2)シクロペンタジエルルテニウム錯体(Cp^2Ru(CH_3CN)_3](PF_6)とアレーンから(CP^2Ru(η^6-arene)](PF_6)が生成する反応において、面不斉ルテニウム錯体とプロキラルなアレーンを用いてアレーンの配位面選択性を反応のジアステレオ選択性から評価した結果、面不斉シクロペンタジエニル部が50%de程度の選択性を示すことを見出した。 (3)カチオン性の面不斉シクロペンタジエニル鉄およびルテニウム錯体を融媒にオレフィンの不斉シクロプロパン化反応を検討した結果、ジアゾ酢酸とスチレンの反応において、50%eeの選択性でシクロプロパン化反応が進行することを見出した。
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