研究概要 |
1)分子内障害を生じるポリピラゾリルボレート類の合成と分離機能の解析。ホウ素にピラゾール類(Pz)の1つのNが順次結合したポリピラゾールボレート配位子(HnBPz_<4n>,n=0,1,2)は申請者らにより初めて、配位子内によりイオンサイズを認識することを見い出した。7年度にはピラゾール環にメチル基など置換基を導入したポリピラゾールボレート類を合成し、配位子内の歪みとともにキレートの配位子間の接触によるイオンサイズ認識性を分離化学、錯体化学の立場から研究を行い、これを利用した選択的配位子を開発した。 2)環状化合物により規制されたβ-ジケトン類の合成とイオンサイズ認識。ピラゾール、イソキサゾール、シクロアルカンなどの環状化合物の1つの部位をβ-ケトエノール環に導入すると、O,O-間距離が規制でき、この距離が金属イオン認識の重要なパラメーターであることを申請者らにより初めて報告した。7年度には末端に立体効果の異なる置換基を導入してO,O-間を変化させたときの、アルカリ土類金属のイオンサイズに対する認識性を分離化学、錯体化学の立場から研究し、これを基礎にして分離機能を高めた配位子を創製した。 3)新規剛直性β-ジケトン類の合成とイオンサイズ認識。通常のβ-ジケトン(RCOCHR'COR")類のR'のアルキル基による置換は、O,O-間距離を短くする、拡げるために歪みエネルギーの増大などの効果が考えられる。7年度はR'メチル基、Rにパ-フルオロアルキル基、R"に各種の置換基を導入した新規β-ジケトン類を合成し、溶媒抽出などの分離化学の研究を行った。
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