研究概要 |
燐酸イオン電極、過塩素酸電極、水銀(II)イオン電極、チオシアン酸電極、スズ(II)イオン電極、タリウム(I)イオン電極の開発をすすめてきた。これら電極の電極応答性能を支配する因子、すなわち、pH,温度、電極活性物質(合成したチアクラウンエーテル、アゾチアクラウンエール、カリックスアレン配位子)の濃度、可塑剤(DOP,DOS,NPOE)、添加塩(KTpC1PB)等を変化させて電極の応答性能を評価した。またこれら因子によるインピーダンスを周波数可変(0.01mHz-10MHz)ソ-ラトロン社製インピーダンス アナライザ1260型で測定した。 各膜電極のインピーダンスの詳細な解析、すなわち、バルク抵抗、電気二重層容量、交換電流密度、膜中のイオンの拡散係数、Warburg係数等を計算して、電極膜でのイオン交換の挙動、膜へのイオン輸送、膜界面への移動過程の解明を行った。 添加塩(KTpC1PB)の存在によって、タリウム(I)およびスズ(II)電極の性能は良くなることが分かった。また電荷移動抵抗の減少、交換電流密度の増大が可塑剤DOPで特に観測され、膜性能に誘電率が関与していることガ分かった。イオン電極の選択性を評価するために、電位差法による混合溶液法、単独溶液法および連続変化法とインピーダンス法によるイオン交換電流密度比との相関性を検討して新たな知見を得た。また膜内へのイオンの拡散は水溶液中より数千倍遅いことが分かった。膜の応答はイオン交換と膜内での錯形成機構との複雑な関係によって進行することが明らかにされた。これら微視的イオン移動過程をさらに詳細に解明し、イオンの電荷分離機構、イオンの分離分析への定量的評価を行う。
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