研究課題/領域番号 |
07454208
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
原田 朋子 (太田 朋子) 国立遺伝学研究所, 集団遺伝研究系, 教授 (80000256)
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研究分担者 |
高野 敏行郎 国立遺伝学研究所, 集団遺伝研究系, 助手 (90202150)
田嶋 文生郎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (30183065)
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キーワード | DNA多型 / 分子進化 / 弱有害突然変異 / 適応進化 |
研究概要 |
理論および実験で次のような成果があった。 分子進化のほぼ中立説では集団の大きさと進化速度との間に負の相関が予想される。この予想を哺乳類の49の遺伝子配列を用いて検定した。すなわち、ヒト、ネズミ、およびウシの類で遺伝子配列を比較し、同義置換数と非同義置換数を推定したところ、同義置換数に比べ非同義置換数がヒトの類ではネズミの類に比べ多いことがわかった。一般にヒトの類はネズミの類より集団が小さいので非同義置換の多くがほぼ中立であるとするほぼ中立説を検証できた。またほぼ中立説では進化速度がゆらぎ、その分散が大きくなることが予想されるが、この予想も49の遺伝子の非同義置換で証明できた(太田)。DNA多型の統計方法については、ノンランダムサンプリングが集団内に存在する遺伝子的変異の推定値におよぼす影響を明らかにした(田嶋)。実験面では、近縁種間の遺伝的な違いを調べるため、まづキイロショウジョウバエ、オナジショウジョウバエおよびその種間雑種F1について胸部背板剛毛数を解析した。F1ではオナジショウジョウバエの系統によって剛毛が特異的に失われることを明らかにした。この系統による違いはオナジショウジョウバエ集団中に多型的に存在することから、この形態異常に関与する種間変異の少なくとも一つはオナジショウジョバエの系統で最近生じたと考えられる。これに関する遺伝子解析をさらに進める予定である(高野)。
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