1)生物的相互作用を主要因とする生物群集のモデル作成の出発点として、Gilpin(1994)が提唱したモデルを採用した。Gilpin(1994)のモデルは本来多種間で種間競争を行なう系を想定したモデルである。本年度はまずこのモデルの前提を拡張することを主目的として作業を行なった。これは今後このモデルを被食者-捕食者を含む系に拡張するためにどうしても確認しておかなければならないステップである。nX_nの群集行列において、n=10として競争係数を乱数発生させた要素で置き換え、安定状態になるまで走らせた後、生き残った種を種間競争を経験しなかった種と組み合わせることによって、種間競争を生き残った種が確かに「生態的に安定な種の組み合わせ」として特徴づけられることが明らかになった。 2)上記モデルの構築と並列して、豆数種(小豆、緑豆、ブラックアイ、隠元豆等)、豆象虫数種(小豆象虫、四紋豆象虫、ブラジル豆象虫、赤色豆象虫、(灰色豆象虫等)、それに豆象虫幼虫の寄生蜂4種(姫蜂1種と黄金小蜂3種)を使用して、室内実験系を組むための材料の選定を行なった。特に、本年度は、寄主の豆への選好性、寄生蜂の寄主への選好性などを考慮し、次年度以降に行なう「生態的に安定な種の組み合わせ」の条件を満足する生物種のスクリーニングを行なった。
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