沖縄県中城湾にある干潟を主研究地として研究を開始した。最初に生物相を把握するためライントランセクト法で底生生物の分布パターンについて調査した。 1.本調査地は長い洲によって囲まれており、半閉鎖的な様相を呈しているため、開口部は砂泥質、奥部へ行くに従ってより泥質となり生物相もそれに伴って明瞭に変化している。砂泥質部にはヒメシオマネキや数種類の巻貝類が、また奥部の泥質部にはトカゲハゼ、ミナミトビハゼなどのハゼ類とヒメヤマトオサガニが特徴的に生息していた。 2.上記各種ともに浮遊幼生期を有するので定着時期のおける環境条件やすでに干潟に生息している生物との反応が将来の群集構造を決定する大きな要因と思われるので野外実験により、成体-新規定着個体の関係に関する調査を開始した。 3.泥の起源や、底生動物の食物の起源を調べるために有機物のCN組成の分析を開始した。今回購入したCNアナライザーは多量のサンプルを短期間に分析可能であるので近い将来多量の情報が得られると期待される。 4.重要な有機物源と考えられるマングローブの一種メヒルギについて葉の生長と寿命、開花時期と胎生種子の生産など、その生活史を解明した。落葉は重要であると考えられるが、台風による落葉を除外すれば、生産された後1年後の冬季に大量に落ち、干潟に供給されることが明らかになった。
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