研究概要 |
タバコ培養細胞BY-2を用いて、微小管とアクチンを架橋するタンパク質の検索を行った。同時に、BY-2細胞からの微小管とアクチンの精製法の確立を試みた。ミニプロトプラストを破砕し、遠心して得たextractにtaxolとphalloidinを加え、微小管とアクチンを回収した。この時の沈殿を観察すると微小管とアクチンの共存が見られ、この分画に架橋タンパク質も含まれていることが示唆された。微小管のみを脱重合させ微小管タンパク質を得、さらにチューブリンと微小管結合タンパク質を分離・精製した。アクチンも脱重合後、精製した。精製したチューブリン・アクチンはそれぞれ正常な重合能を保持していた。微小管結合タンパク質をカラムで分画し、微小管、アクチンとの共沈実験を行ったところ、分子量約120,65,90kDaのポリペプチドが微小管、アクチン両者に結合することがわかった。120kDaと65kDaを含む分画はアクチンの束化能も持っていた。アクチンの束はATP添加により消失し、DMAP存在下では消失しなかったことから、アクチンの束化とタンパク質リン酸化の関連が示唆された。120-65kDa分画と微小管、アクチンを混合し、蛍光染色して観察したところ微小管とアクチンの共存が認められた。したがって、この分画に架橋タンパク質が含まれていることが予想された。以上のように今年度はBY-2細胞からの微小管、アクチン、微小管結合タンパク質の精製法が確立され、微小管-アクチン架橋タンパク質同定のための基本的手法が確立できた。
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