研究課題/領域番号 |
07454227
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
徳永 史生 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80025452)
|
研究分担者 |
久富 修 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60231544)
片岡 幹雄 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30150254)
|
キーワード | 視覚 / 視細胞 / 感度調節 / カルシウム結合蛋白質 / リン酸化 / 桿体 / 錐体 / ロドプシンキナーゼ |
研究概要 |
視細胞における視物質の光受容から興奮までの主過程は、Gタンパク質、ホスホジエステラーゼを経て、cGMP依存性カチオンチャネル等のタンパク質が働いている。この細胞内情報伝達は明るさによって変調される。いわゆる明暗順応がある。この順応にはカルシウム依存的に蛋白質Sモジュリンが関与していることが明らかにされている。昨年までに脊椎動物のSモジュリン類似蛋白質は、桿体で働くSモジュリンと錐体で働くビジニンの2種類のグループに分かれることを明らかにした。また、カエルの持つ2種類の蛋白質(Sモジュリンとs26)を、機能を持つ形で大腸菌に大量に作らせた。本年度はそれらの蛋白質を用いて、まず膜との親和性の違いを検討し以下の結果を得た。(1)Sモジュリンはs26より膜に対して高い親和性を示した。(2)500mMのような高塩濃度中では両者の親和性は変わらなかった。以上の結果は、膜に対する親和性の違いが両者の持つ電荷の違いに起因することを示唆している。そこでs26の末端の23アミノ酸残基をSモジュリンのものに変えたキメラ蛋白質を作ったところ、それはSモジュリンと同じ親和性をもつようになった。従って両者の膜に対する親和性の違いがC末端付近の電荷の違いによることを示しており、またN末の脂肪酸と共に、C末部分でも膜と結合することが示唆された。この膜に対する親和性の違いが桿体と錐体の感度の違いを生んでいるものか今後明らかにしたい。(3)Sモジュリンの局在を調べる目的で、これに対する抗体で網膜切片を抗体染色したところ、明順応した網膜では桿体内節が染色され、暗順応したものでは、桿体全体が染色された。これはSモジュリンの局在そのものの変化か、もしくは分子のエピトープ部分を含む構造変化によるものか今後明らかにしたい。
|