カイコ貯蔵タンパク質SP1受容体を高純度で分離精製した。この精製SP1受容体を抗原としてウサギを免疫し抗SP1受容体抗体を得た。イムノブロット解析を行ったところこの抗体は他の脂肪体タンパク質と若干の交差反応を示した。そこで電気泳動的にさらに精製したSP1受容体をニトロセルロース膜に固定し、抗体のエピトープセレクションを行った。この操作により非常に特異性の高い抗SP1受容体抗体を得ることができた。また、5齢のカイコ雌脂肪体からpoly A RNAを調製し、このRNAをもとにλgt11をベクターとして脂肪体cDNA発現ライブラリーを作成した。精製した抗体を用いてこのライブラリーをスクリーニングし、SP1受容体cDNAクローンを得た。このcDNAをプローブとしてRNAブロット・ハイブリダイゼーションを行った結果、カイコSP1受容体mRNAの大きさは約3kbであることが判明した。 エレクトロポレーション法によるカイコ胚由来の培養細胞Bm5へのDNA導入系が確率しつつある。SP1遺伝子のプロモーター領域の下流にリポ-タ遺伝子としてルシフェラーゼの構造遺伝子を連結したキメラプラスミドを作成し、これらをBm5細胞に導入した。導入後細胞を破砕し、リポ-タ遺伝子から合成される酵素の活性をルミノメーターにより調べたところ、細胞抽出液中にルシフェラーゼ活性が認められ、確かにDNAが細胞内に導入され、かつ発現していることが確認できた。SP1は本来この細胞では発現していないため、合成されたルシフェラーゼの活性は若干低めであったが、強力なプロモーターであるカイコ多角体ウイルスのポリヘドリンプロモーターを採用すれば、培養細胞内でSP1受容体タンパク質を効率よく合成することが可能であると判断した。
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