研究概要 |
Th_2Zn_<17>型Ce、U三元系化合物の新物質としてCe_2Cu_xAl_<17-x>(6.75≦x≦8.25),U_2Cu_xAl_<17-x>(8≦x≦11),U_2Cu_xGa_<17-x>(8≦x≦12)を発見し、そのうちいくつかの物質では単結晶育成に成功した。これらは、いずれも電子比熱係数γ(C/T)が1J/K^2mol-(Ce,U)以上で重い電子系に属することを明らかにした。Ce_2Cu_xAl_<17-x>は、低温・高磁場下の比熱、帯磁率、抵抗測定よりこの系の近藤温度Tkはxの増加と共に減少し、いづれも0.4Kまで磁気秩序を示さずγ(=C/T)が1.5J/K^2mol-Ceを越える極めて重い電子系である事等を明らかにした。一方、U_2Cu_xAl_<17-x>,U_2Cu_xGa_<17-x>は、0.2K,5.2Tまでの磁場中比熱測定よりC/Tは1J/K^2mol-UとCe_2Cu_xAl_<17-x>と同様に極めて大きいが、Ce系と異なり0.2Kまで-logT的に増加して磁場で殆ど減少しない非フェルミ流体的振舞を示す事を明らかにした。これに加えて0.5〜2Kでスピングラス的な短距離秩序を示すことがわかった。 BaAl_4型Ce3元系化合物CeCuAl_3,CeCuGa_3の良質単結晶育成に成功した。CeCuAl_3単結晶のマクロ測定に加えて磁場中配向資料を用いて0.5-300KでAl,CuのNMR測定を行い、CeCuAl_3はT_N=2.5Kの重い電子系反強磁性体である事、K vs x plotより各siteのH_<hf>を得、1/T_1よりf電子状態等について微視的情報を得た。NMRよりBaNiSn_3型構造の可能性が示唆された。CeCuGa_3単結晶を用いて上記の測定を行い、CeCuGa_3はT_N=4Kの反強磁性体であり、第一結晶場分裂△_1は数10KとCeCuAl_3の10Kと比べてかなり大きい事を明らかにした。 CeCuAl_3はT_KとRKKY相互作用T_<RKKY>と△_<>が共に10K程度で小さく競合を示す興味深い系である。圧力によるこれらの競合関係の変化を調べる為高圧化NMR、磁化測定装置を開発した。0〜15kbarでNMR測定を行い、圧力効果が極めて大きく圧力の増加と共にT_Kが増加してT_Nが減少し、≧10kbarで反強磁性が消失する事を微視的に明らかにした。CeCu_x(Al,Cu)_<4-x>系の研究も発展中である。
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