研究概要 |
東京上空には自然起源のエアロゾルのほか,人間活動によるかなりの量のエアロゾルが浮遊している(ここでは東京エアロゾル層と呼ぶ).東京エアロゾル層は,環八雲の形成要因として重要である.本研究では,南関東における海陸風・混合層と東京エアロゾル層の動態を解明するために,1997年7月28日-8月8日,東京都の江東区,世田谷区,小金井市,八王子市で,ライダー・ウィンドプロファイラー・ラジオゾンデ観測を実施した. まず,ライダーシグナルによる混合層高度の決定法を定式化し,ラジオゾンデ観測との比較によってその妥当性を検証した.この方法により,4地点でのライダーシグナルとウィンドプロファイラーのエコー強度を比較し,東京における混合層高度の空間分布を得た.海に隣接する江東区の観測結果では,内陸の観測地点よりも混合層高度が低く,その上に上空の西風によってエアロゾル層がもう1層形成されていた. ついで,都市エアロゾルの光学的厚さ・組成・形状等を中国ゴビ砂漠で採取された自然起源エアロゾルと比較し,その特徴を明らかにした. 最後に,環八雲の出現した日の気候学的解析を行い,海陸風とヒートアイランドなどの局地循環が発達しやすい日に出現回数が多いことを明らかにした.
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