研究課題/領域番号 |
07454250
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
澤田 正實 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (70029883)
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研究分担者 |
高井 嘉雄 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (20127244)
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キーワード | FABマススペクトロメトリー / キラル認識 / アミノ酸 / 分子認識 / キラルクラウンエーテル / エナンチオマー / 同位体標識 / ホストーゲスト |
研究概要 |
われわれは、キラル認識ホストーゲスト相互作用の全く新しい検出法として、微量試料量と迅速決定という点で他の追随を許さないマススペクトロメトリーが活用できるかどうかを検討した。本研究において、新方法論「鏡像体同位体標識ゲスト法を駆使するキラル分子認識のためのマススペクトロメトリー」の基礎を確立し、溶液中のホストーゲスト平衡過程における熱力学的性質と対応づけてホスト分子の分子認識機能を定量評価し、かつその方法論を実際に生体関連物質ホストに応用することを目的とした。 本年度においては、FABマススペクトロメトリーを駆使する「鏡像体同位体標識ゲスト法」は次の実際的なプロセスを経るのが最良と判断した。(i)キラルゲストの鏡像体の一方を重水素同位体標識した化合物を合成し、(ii)同位体標識しないもう一方の鏡像異性体と1:1等モルで混合した、ゲスト溶液を調製し、(iii)キラル認識機能を調べたいホスト化合物と混合してFABマススペクトルを測定し、(iv)出現した一対のホストーゲストコンプレックスイオンのピーク強度比(I_R/I_<S-dn>値、ここでdnはn個のラベル体を意味する:IRIS値と略称)を決定し、(v)このIRIS値でもって当該ホスト化合物のキラル分子認識機能の有無や程度、選択方向性を定量評価する。一連のアミノ酸エステル塩類やアミノ酸類をゲストに選んで詳細を検討した。 ジアステレオメリックホストーゲストコンプレックスイオンのピーク強度比の(a)スキャン安定性、(b)濃度効果、(c)交差キラリティー相関性、(d)同位体効果など、FABマススペクトロメトリー検出に付随する関連基礎実験を徹底的に行った結果、新方法論の定量指標としてIRIS値が満足な結果を与えることが判明した。一部のキラルホストーキラルゲストの組合せ系において、滴定NMR法など従来法の測定を行い、両者の結果の比較を行い、本法のIRIS値が溶液中の熱力学的挙動を反映する、有機化学者が真に求める、すぐれた指標であることがわかった。
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