研究概要 |
前年度に合成した中性塩基結合シリカゲルを固定相とするHPLC用分離カラムを作製し、試料としてZn^<||>、Co^<||>、Ni^<||>、Cu^<||>の4種類の金属-テトラフェニルポルフィリン錯体(TPP)を用いて、順相系でカラムの評価を試みた。合成したカラムは、4,5-ジヒドロイミダゾリル結合シリカ(4,5-DHIPS)、2-(2-ピリジル)エチル結合シリカ(2-PES)、2-(4-ピリジル)エチル結合シリカ(4-PES)の3種類であり、さらに、対照として市販のアミノプロピル基結合シリカ(APS)もカラムに充填して用いた。移動相としてシクロヘキサン-トルエン混合溶媒を用いて、これら4種類の金属-TPP錯体の保持挙動を検討した。その結果、たとえば、Zn^<||>TPP錯体に関して、カラムによる保持の強さは2-PES≪4,5-DHIP〜APS<4-PESの順となった。2-PESカラムにはTPP錯体はほとんど保持されなかった。2-PESと4-PESとピリジル基のnの塩基性はほぼ等しいと考えられるが、2-PESでは、エチル基による立体障害のために金属イオンへの配位能力は低いと考えられる。また、以前、Zn^<||>TPP錯体を固定相とするGCにおいて、N含有化合物の保持挙動が調べられているが、本研究の固定相のアナログ化合物の保持の強さは2-メチルピリジン<エチルアミン<4-メチルピリジンと報告されており、上記の順序と一致した。一方、これらのカラムにおいて、錯体間の保持されやすさは、Ni^<||>-TPP〜Cu^<||>-TPP<Zn^<||>-TPP〜Co^<||>-TPPとなった。この順序はこれらのTPP錯体におけるピリジンの付加錯体生成定数の順序に一致した。これらのことから、これらのカラムにおけるTPP錯体の保持機構は、試料のTPP錯体と固定相の中性塩基との間の配位相互作用に基づいていると結論される。
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