研究概要 |
前年度に引き続き、報告者らが合成した中性塩基結合シリカゲルを固定相とするHPLC用分離カラムにより、新たにMn^<III>、V^<IV>,Fe^<III>の3種類の金属・テトラフェニルポルフィリン錯体(TPP)を用いて、順相系でカラムの評価を試みた。合成したカラムは、4,5ジヒドロイミダゾリル結合シリカ(4,5・DHIPS)、2・(2・ビリジル)エチル結合シリカ(2・PES)、2・(4・ピリジル)エチル結合シリカ(4・PES)の3種類であり、さらに、対照として市販のアミノプロピル基結合シリカ(APS)もカラムに充填して用いた。移動相としてシクロヘキサン・トルエン混合溶媒を用いて、これら3種類、および昨年に引き続きZn^<II>,Co^<II>,Cu^<II>の4種類の金属・TPP錯体の保持挙動を検討した。その結果、Ni^<II>、Cu^<II>、V^<IV>、Fe^<III>-TPP錯体はこれらカラムにほとんど保持されなかった。一方、他の3種類の錯体は強く保持され、その程度はZn^<II>・TPP〜Co^<II>TPP_< Mn^<III>・TPPの順となった。またカラムによる保持の強さはMn^<III>・TPPに関しても2・PES_<<<>4.5・DHIP〜APS_<4・PESであり、2PESカラムにはほとんど保持されなかった。2・PESと4・PESのビリジル基のNの塩基性はほぼ等しいと考えられるが、2・PESでは、エチル基による立体障害のために金属イオンへの配位能力は低いと考えられる。このことからも、これら3種類のTPP錯体の分離を制御している第一要因が固定相の中性塩基との間の配位相互作用に基づいていると結論され、昨年までの検討の結果がさらに補強された。
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