研究概要 |
染色体が大きく数の少ない植物(ソラマメ,ネギ,タマネギ,ニンニク,ツルボ)の根端を用いて,体細胞の細胞分裂の同調化を種々の薬品や処理条件を検討した。その結果,5アミノウラシル,アフィディコリン,ヒドロキシウレアなどのDNA合成阻害剤による処理後,コルヒチン,アミプロホスメチルなどの核分裂阻害剤処理により,同調化が起こることを確認した。しかし,植物により最適な条件はそれぞれ異なり,また,同じ種でも季節により,同調化がうまく効く場合と効かない場合があり,それぞれの種ごとに,条件や方法を検討して条件を決定する必要があることが分かった。 酸解離-押しつぶし法,酵素処理-炎乾法,酵素処理-風乾法,酵素処理-押しつぶし法などの染色体標本作製法を検討した結果,染色体が比較的よくひろがり,細胞密度が高い染色体標本を得るために,酵素処理後押しつぶし法が最も優れていることが分かった。しかし,染色体のマイクロダイセクションには細胞壁を取り除いて裸の状態になった染色体が最適であるので,酵素処理の条件が重要であることが分かった。 倒立顕微鏡にマイクロマニピュレータを備えた装置により,大形染色体のマイクロダイセクションは比較的容易に行うことが出来た。
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