研究課題/領域番号 |
07455001
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小池 洋二 東北大学, 工学部, 教授 (70134038)
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研究分担者 |
加藤 雅恒 東北大学, 工学部, 助手 (50211850)
野地 尚 東北大学, 工学部, 助手 (50180740)
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キーワード | 酸化物高温超伝導体 / インターカレーション / 高温超伝導 / 異方性 / Bi_2Sr_<1.4>La_<0.6>CuO_<6+δ> / 多層膜 / 過剰酸素 |
研究概要 |
高温超伝導の発現機構に関する知見を得ることを目的として、前年度は、オーバードープ領域にあるBi系高温超伝導体のBi2212相Bi_2Sr_2CaCu_2O_<a+δ>にヨウ素をインターカレーションし、超伝導転移温度Tcと電子構造の異方性(次元性)のインターカレーションによる変化について調べたが、今年度は、アンダードープ領域にあるBi2201相Bi_2Sr_<1.4>La_<0.6>CuO_<6+δ>の単結晶についてヨウ素インターカレーション、および、過剰酸素注入を行い、それによるTcと電子構造の異方性(次元性)の変化を調べた。 Tcは、インターカレーションと過剰酸素注入のいずれによっても、あまり変化しなかった。インターカレーションや過剰酸素注入によるキャリヤ-濃度の増加は、Bi2212相の場合に比べて僅かであることが分かった。また、超伝導転移のブロードニングはインターカレーションや過剰酸素注入によってあまり変わらず、すなわち、超伝導ゆらぎの効果は変わらず、したがって、擬2次元性もあまり大きくは変化していないことが分かった。 以上の実験結果より、Bi2201相へのヨウ素インターカレーションの場合は、常伝導層の厚みの増大がTcに及ぼす効果は小さく、また、Bi2201相が有している強い擬2次元性は、キャリヤ-濃度の増加が少ないためにあまり変化しないものと理解できた。過剰酸素注入の場合も、キャリヤ-濃度の増加が少ないために、Tcはほとんど変化せず、擬2次元的なままであると理解できた。これらの結果は、Bi2212相の場合と同様に、高温超伝導体を超伝導層(CuO_2)と常伝導層(ブロック層)からなる多層膜とみなすモデル(多層膜モデル)で定量的にも理解できることが分かった。
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