1.平成7年度の研究の進展状況は以下の通りである。 (1)数種類の銅酸化物超伝導体の単結晶を合成し、c軸光学スペクトルを調べたが、c軸超伝導プラズマ現象の研究に最適な物質はLa_<2-x>Sr_xCuO_4系であることがわかった。 (2)La系の利点は、ド-ピング量を大きく変化させることができる点にあり、ド-ピング量を制御することによりそのプラズマ周波数とプラズマの減衰が同時に制御できる。その結果、c軸超伝導プラズマはドープ量が小さいときには減衰を受けにくく、逆にドープ量が増大するとその減衰が著しく増加することが判明した。 (3)試料の厚さを薄くして干渉効果を調べることができた。プラズマ周波数が非常に低いので遠赤外領域で試料は透明になり光の干渉効果が観測される。これにより、プラズマと光が結合した電磁波モードの分散が解明された。 2.平成7年度の研究によりc軸超伝導プラズマの周波数や減衰が物質のパラメータと度のようなかかわりをもっているかが明らかにされつつある。更に、c軸超伝導プラズマにかかわる電磁現象検証のための試料選定と試料整形方法が確立し、次年度の研究のための基礎となる知見と技術が集積された。学術城の問題点は、ドープ量を増やすとプラズマ周波数と同時にその減衰も増大するということで、この減衰はプラズマ現象の高周波化の妨げになっている。この減衰の原因が内的なものか外的なものかを次年度の研究で解明する必要がある。
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