研究課題/領域番号 |
07455008
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用物性・結晶工学
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研究機関 | 島根大学 (1997) 名古屋大学 (1995-1996) |
研究代表者 |
高田 昌樹 島根大学, 総合理工学部, 助教授 (60197100)
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研究分担者 |
山田 裕 島根大学, 総合理工学部, 助教授 (10242835)
熊沢 紳太郎 日本原子力研究所, 博士研究員 (80246686)
坂田 誠 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40135306)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1997
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キーワード | マキシマムエントロピー法 / リ-トベルト法 / 粉末回折 / 精密構造解析 / 金属内包フラーレン / 電子密度 |
研究概要 |
これまで、X線及び中性子粉末結晶構造解析は、その物質の興味ある物性の発現機構を理解し、制御する上で、重要な構造情報を提供するものと考えられてきた。特に、酸化物高温超伝導体を始めとする様々な新物質の結晶構造を決定したリ-トベルト解析の果たした役割は大きい。しかし、リ-トベルト解析によって明らかにされる構造は、原子の集合体としての構造、すなわち原子配列である。従って、物質内の電子密度分布や原子核密度分布から得られる原子の結合状態や非調和熱振動といった、物性研究に、より直接的に関わってくる詳細な構造情報まで得ることはできない。元来、そのような情報は、X線、中性子線粉末回折データに含まれているはずである。 これまで、我々は、マキシマムエントロピー法(MEM)という新しい精密構造解析法を開発し、精密な電子密度及び原子核密度分布を回折データから求める方法を確立してきた。本研究は、MEMの可能性をさらに拡張し、また、従来の解析法であるリ-トベルト解析法の利点を生かすことにより、これまでの結晶学の限界を押し広げ、新たな結晶学を構築することを目的としている。その為に、MEMとリ-トベルト解析法を組み合わせた新しい粉末精密構造解析の方法論の確立を目指して、平成7年度より研究が開始された。幸いにも、初年度に、本研究で開発された方法を用いて、世界で初めて金属内包フラーレンの構造解析に成功した。この成果は科学雑誌Nature(377(1995)46-49)に掲載され、新聞各紙(日本経済新聞、日刊工業新聞、毎日新聞、朝日新聞、中日新聞)にも報道され、フラーレン科学の分野だけでなく社会にも大きなインパクトを与える事ができた。その後、その他のフラーレン化合物、酸化物超伝導体関連物質等の様々な物質に、この新しい方法を応用し、多くの研究成果をあげることができた。
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