室温で連続発振する窒化物系の短波長半導体レーザはは実現したとはいえ、あまりにも高い転位密度とその影響調査、クラッド層の問題、p型層の問題、など性能向上に向けて解決するべき問題が山積している。本研究は、窒化物のこれらの問題を解決し、青色半導体レーザの基礎を作ることを目的としたものである。具体的には、GaPNの成長とその物性評価、p型GaNの研究、昇華法による厚膜、及びバルクGaNの結晶成長とその上へのMOCVDによるホモエピタキシ-、さらに半導体レーザの実現を目指した研究を進め、以下の成果を得た。 1.GaPNの成長に関する研究:本研究により、青色領域で発光する結晶がこの材料としては初めて達成された。成長条件の最適化より、その組成は非常に敏感に条件により変化することが判明した。 2.昇華法による厚膜、及びバルクGaNの結晶成長に関する研究:昇華法により数十〜数百ミクロン程度のGaN厚膜と、数百ミクロン〜数ミリメートル程度のバルクGaNを結晶成長する技術を確立した。また、基板上に選択的にバルクGaNを結晶成長することに成長し、デバイイスプロセスを可能とした。 3.MOCVD法によるInGaN結晶成長の研究:MOCVD法によりサファイア基板の上に成長した結晶の構造評価を行い、InGaNの組成が不均一であることを見い出してその形成メカニズムを明らかにした。 4.ホモエピタキシャル成長に関する研究:昇華法により成長したバルクGaN結晶の上にMOCVD法により、GaN及びGaN/InGaNダブルへテロ構造の成長を行い、その成長の様子がサファイア基盤上のものと非常に異なることを明らかにした。以上の研究により、レーザをバルクGaN結晶を用いて作成する場合の基礎を確立したと言える。
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