研究概要 |
単結晶ファイバーの育成には数種類の方法があるが,その中でもレーザ加熱帯域融解法(Laser Heated Pedestral Growth:LHPG)は強誘電体単結晶ファイバーの育成に最適である.しかしこのレーザ加熱帯域融解装置(LHPG装置)は国内・国外においても数ケ所しかない為,市販のものはない.そのため平成7年度はLHPG装置の組み立てが主な仕事であった.内容は試料チャンバー部,種子結晶ロッド・原料ロッドの取りつけ部分とその駆動装置,炭酸ガスレーザの加熱部への集光系,LHPG援用のためのハロゲンランプによる赤外加熱集光系に大きく分けられる.赤外加熱部分は100Wの炭酸ガスレーザおよびアニール用赤外線加熱のための最高温度1500℃のゴールドイメージ炉2基を用いた.スライダー,ギアボクス,ACサーボモータおよびコントローラにより種子・原料両ロッドの駆動部を作製した.ファイバー作製速度は0.5mm/h-3000mm/hまで可変でき,最大移動距離は300mmである.種子結晶と原料ロッドを正確に相対向して配置するためにX-Y2軸のリニアステージおよびゴニオステージを用いた.一方KLN種子ロッドの作製を兼ね,KLN単結晶ファイバーの特性をバルク結晶と比較する目的でチョクラルスキー法による細い直径を持ったバルクKLN強誘電体単結晶の育成を平行して試みた.その結果,淡黄色透明な単結晶がチョクラルスキー法で育成出来た.結晶は極めて透明で,光の吸収係数が小さく,光の吸収端は378nmにあることが分かった.又,電気光学系数r_cは40×10^<-12>m/V(632.8nm)の値が得られ,KLN単結晶が光学的応用に優れていることを示した.集電係数pは80μC/m^2Kであった.誘電率ε_<33>Tは420℃のキューリ温度でブロードなピークを示した.これは結晶内での組成変動が少しあることを示す.これらの成果については,第1回アジア強誘電体会議(平成7年10月5-9日,中国西安)で発表した.このような結晶内の組成変動は単結晶ファイバーの場合には起こらないことが期待される.
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