第1年度目の平成7年度は、半導体/金属界面の試料としてAu-Ge合金膜を作製し、その熱処理時における相形成などを調べた。Au-GeはAu-Siの合金シリサイドとくらべ研究が少なく、かつAu/Ge多層膜を熱処理することによって独特なフラクタル図形(フラクタル指数1.5-2.0)を示すため、相形成の試料として非常に興味深い。この試料を高分解能電子顕微鏡で観察し、Auが5nm程度のナノ結晶の場合、僅か70-150℃の熱処理によって界面の合金相から融解し始め、その液滴の移動によって非晶質のGeが結晶化することを初めて見いだした。さらに400℃で0.5時間程度の熱処理を加えることによってAuと結晶化したGeが数十nmの微粒子中で界面を作っている“きのこ"状の粒子が生成することを見いだした。第2年度にはこの微粒子を用いてコヒアレント電子回折を行う予定である。またコヒアレント電子回折のシュミレイションを行うプログラムも作製し、それを用いて実験データのあるGaAs/AlAs半導体超格子の[110]入射条件での(110)界面からの電子回折図形の解析を行った。
|