第2年度目の平成8年度は、前年度実験とシュミレーションをおこなったPbTe/MgO2の重膜のコヒーレントナノ電子ビーム回折の研究をまとめ、学振主催の界面の研究に関する日仏セミナーで発表し、併せてJ.Inteface Scienceに投稿し印刷された。またこの研究は平成9年度米国で開かれる電子顕微鏡学会にも招待講演としてとりあげられ発表の予定である。またこの2重膜のコヒーレントナノ電子回折から2つの結晶の格子のズレを決める研究の、"実空間版"に相当する研究も行った。これは、高分解能電子顕微鏡像をコンピューターに読み込んだ後2次元のフーリエ変換を行い、それぞれの反射の位相を読み出すことによって、2つの格子の整合の様子を知る方法である。半導体の試料の面ではCdSe/CaF_2の複合膜を作製しその界面の様子を高分解能電子顕微鏡とナノ電子回折でしらべた。平成9年度は、これらの試料によって、コヒーレントナノ電子回折図形から結晶の構造因子の位相の決定の問題に取り組む予定である。
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