研究課題/領域番号 |
07455026
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
伊藤 利道 大阪大学, 工学部, 助教授 (00183004)
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研究分担者 |
八田 章光 大阪大学, 工学部, 助手 (50243184)
平木 昭夫 大阪大学, 工学部, 教授 (50029013)
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キーワード | ダイヤモンド薄膜 / 電子親和力 / 電子エミッタ |
研究概要 |
気相合成ダイヤモンドの表面の電子構造、光電子放出特性や表面処理による電子親和力の変化について調べた結果、以下のような知見を得た。(1)ダイヤモンド表面は、(111)面及び(100)面ともに水素処理により、電子親和力がゼロまたは負になる。(2)また、これらの表面は、適当な処理により酸素の吸着が生じると、電子親和力が正になり、十分な酸素吸着に対して、その値が、(111)面では、0.45eV、(100)面では、0.57eVになる。(3)更に、これらの酸素吸着面に対して適当な紫外光照射を行うと、いずれの面についても吸着酸素が放出でき(放出速度は面方位依存性がある)、電子親和力が減少する。 一方、プラズマ法によりダイヤモンドをシリコン基板上に気相合成する際に、適当なバイアス印加処理することにより、ダイヤモンドの配向成長に成功し、その成長条件を明らかにした。この知見に基づいて、配向成長技術等を使用した素子構造を採用することにより、窒化ホウ素上のヘテロPN接合ダイヤモンド素子を形成しなくても、ショットキー接合型等のダイヤモンド薄膜の接合素子構造を用いて、負の電子親和力を利用した電子放出デバイスを作製できる可能性を見い出し、すでにこれまでの報告例よりも大きな電子放出効率を得るのに成功している。 今後は、放出電子の特性を分析し、微細構造のと関連を明らかにした上で、素子構造の最適化を図り、より高効率の電子エミッタ素子の作製を行う予定である。
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