研究概要 |
希ガス固体表面に形成された電子励起状態から脱離する励起原子・分子の運動エネルギー分布,収率の入射エネルギー依存性,温度依存性,異種原子の吸着の影響などの測定により,希ガス固体での脱離機構,電子的励起の緩和とエネルギー散逸の過程の研究を行った.学習院大学の実験装置を用いて電子励起脱離実験を,分子科学研究所極端紫外光実験施設において,5月18日-6月7日および1月17日-2月15日の期間,光励起脱離実験を行った.主な成果は下記の通り. (1)H_2が物理吸着したNe,Ar,Kr,Xeでの脱離過程における,脱離粒子種,運動エネルギーの変化,収率の増加の測定を行った.H_2の吸着により,KrとXe固体では電子親和力が正から負に逆転し,Cavity-Ejection機構による脱離が起こることを明らかにした.またH_2の準安定分子の脱離も見いだした. (2)脱離した励起原子からの真空紫外領域の発光緩和過程について,その空間分布と寿命,および励起波長依存性の測定から,Neエキシマーの脱離を確認した. (3)同じく脱離励起原子からの可視領域の発光スペクトルを測定し,2p^53p状態の表面励起子から2p^53p状態の励起原子が脱離し,その一部が真空中で2p^53s状態の準安定原子に緩和することを確認した. (4)レーザープラズマ真空紫外光源の特性測定のための予備実験を進め,当初の予想通り,あるいはそれ以上の真空紫外光の発生を確認した. (5)上記の成果の一部は,1997年10月20-24日に米国のSan Joseで開催された第44回米国真空国際学会で発表した.
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