研究概要 |
平成10年度の本研究では,これまで3カ年にわたる研究を総括し応用面での将来展開を検討した.その結果は以下のとおりである. 1.ファジ-モードレーザの動作機構の解明の研究 本研究ではファジ-モードレーザに関して,その出力がチャープ周波数コムと呼ばれる従来のレーザとはまったく異なるスペクトルの特徴を有していることを明らかにした.このチャープ周波数コムの詳細な解析をもって,動作機構に関する研究の総括とした.周波数チャープの線形性は,ファジ-モードレーザの動作機構,応用の両面から重要であり,この点についてレーザ出力のホモダイン検波,ヘテロダイン検波などから検討をおこなった.その結果,周波数チャープはほぼ理想的に線形であり,種々の応用分野で利用するのに十分であることを実証した. 2.応用面での将来展開の検討 ファジモード-レーザの光計測への応用として,光距離計測への応用をおこなった.本研究で設計・試作したファジモードレーザを用いて,距離計測の実証実験をおこなった.結果,4kmの距離を精度50μm以下で測定できることを実証した.この結果にもとづいて,ファジ-モードレーザの応用面での将来展開を検討した結果,ファジ-モードレーザによる距離測定システムは,地震検知などの環境計測,光通信網診断などの情報通信といった幅広い分野に展開するために必要な研究成果を得た.
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