研究概要 |
1)短波長(0.8μm)帯完全偏光無依存光変調器の開発:GaAs基板上に,GaAsより格子定数の大きいInGaAs疑似基板を,GaAs/InGaAs歪み超格子バッファーを介してエピタキシャルに形成し,その上に質量依存井戸幅構造GaAs伸張歪み量子井戸を作製することに成功した.このウェーハを光強度変調器に加工し,変調特性を観測したところ,波長0.8μm帯で波長幅28nmにわたって,異偏光間で変調特性がアナログ的にも一致した,消光比10dB以上の完全偏光無依存動作が得られた. 2)長波長(1.55μm)帯完全偏光無依存光変調器に向けたエピタキシャル成長技術:上と同じ原理を利用した完全偏光無依存光変調器を,光通信用の1.55μm帯で実現すべく,InP基板上のInGaAs/InAlAs歪み量子井戸の分子線エピタキシャル成長条件を求めた.成長基板温度の最適化,インジウム原料およびInP基板の吟味を通じて,良質な歪み量子井戸の成長が可能となってきている.この成長技術に基づいて,現在光変調器を試作中である. 3)低挿入損失面型光スイッチの研究:面型光双安定素子SEEDについて,結合量子井戸の吸収端の等価的ブルーシフトを使って残留損失の低減化を図っている.これまでに,非対称三重結合量子井戸を用いると,吸収端のブルーシフトの逆バイアス電圧依存性が大きい領域を利用できるようになるので,残留損失のみならずコントラストも改善できることを理論と実験で示した.また,対称結合量子井戸においては,シヨットキ-接触を用いることによってビルトイン電圧を下げ,低電界領域の大きな吸収係数変化を利用することが可能となった.現在,これら結合量子井戸を応用した透過型S-SEEDアレイを試作中である. 4)進行波型量子井戸超高速光変調器:量子井戸超高速光変調器に関し,現在進行波電極構造の設計を行っている.また予備実験として,バルク活性層を用いた進行波光変調器を試作し,光変調評価実験を行っている.
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