研究概要 |
1)長波長(1.55μm)帯完全偏光無依存光変調器に向けたエピタキシャル成長技術:本研究で昨年度開発された,質量依存幅量子井戸と伸長歪みを組み合わせた完全偏光無依存光変調器を,光通信用の1.55μm帯で実現すべく,InP基板上のInGaAs/InAlAs歪み量子井戸の分子線エピタキシャル成長条件を研究した.成長基板温度の最適化,インジウム原料およびInP基板の吟味を通じて,良質な歪み量子井戸の成長が可能となってきている.この成長技術に基づいてダブルヘテロ構造を形成し,ポリイミドを利用したリッジ導波路に加工して,伝搬損失をファブリーペロ-干渉法により測定評価した. 2)低挿入損失面型光スイッチ:面型光双安定素子SEEDについて,結合量子井戸の吸収端の等価的ブルーシフトを使って残留損失の低減化を図っている.本年度は,変形ポテンシャル非対称結合量子井戸を応用した透過型S-SEEDを試作し,光双安定動作を得ることを成功した. 3)進行波型量子井戸超高速光変調器:コプレーナ構造の進行波電極を有する方向性結合器型GaAs光変調器を試作し,マイクロ波測定から良好な速度整合の得られていることがわかった.Swept Frequency法による光変調実験の結果,変調帯域として22GHzが得られたが,これは主にマイクロ波の伝搬損失に制限されている.量子井戸を使った素子の短縮化を図っている. 4)変形ポテンシャル5段階非対称結合量子井戸:吸収端のレッドシフトを伴わず,低電界で大きな屈折率変化をもたらす新たな標記の量子井戸構造を見い出した.これを利用したマッハツェンダー干渉計型光スイッチを試作中である.
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