微小光機能を発現させるために、まず構造を有する薄膜上での表面プラズモンの波動特性を研究した。レーザー光を励起光に用い、対向する2つの表面プラズモンを金属薄膜上に発生させ、得られる干渉パターンを近接場光学顕微鏡により観測した。その結果波長554nmの表面プラズモンの干渉が観測され、これより干渉を利用したスイッチングなどの微小デバイスの可能性が確認された。 次に周波数変換機能を発現させるために代表的な非線形光学材料であるリチウムナイオベート(以下LNと記す)の微小結晶を超平坦サファイア基板の上に成長させ、その特性評価と、第二次高調波発生を試みた。まず特性評価のために用いる近接場光学顕微鏡の性能を確認するために、超平坦サファイア基板上にある原子レベルの段差を測定した。測定される近接場の光が一定になるようにプローブ位置を制御しながらプローブを走査させる方法を新規に採用した。その結果、画像のコントラストが飛躍的に向上し、段差が観測された。このことから本顕微鏡の縦方向分解能は原子レベルに達していることが確認された。 次に、作成したLN微結晶(面内寸法30nm×20nm)の形状を近接場光学顕微鏡にて観測することができ、面内分解能がnmオーダーに達していることが確認された。さらに入射光の偏光状態に対する画像特性依存性は我々が開発した理論結果とよく合致していることも確認された。 このLN微結晶の第二次高調波発生実験を行った。そのために幅100fsのパルスレーザー光(波長800nm)をLN微結晶に照射した。光子計数法を用いることにより発生する第二次高調波の光を観測することができた。これは従来のバルクLN結晶と違い、位相整合条件の不要な第二次高調波発生として重要である。これによりLN微結晶一個ごとに1ビットの光機能を与えることのできる可能性が確認できた。これにより本研究の目的である微小光機能素子実現の基礎が確立された。
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