受動形の微小光機能素子を実現するために、まずガラス基板に厚さ50nm程度の銀薄膜を蒸着し、銀薄膜上に表面プラズモンを励起した。なお、銀薄膜の厚さを均一にするために最適な蒸着条件を見いだした。特に、ガラスと銀との間にゲルマニウム薄膜を挟むと均一度が向上することを見いだした。端面の急峻性を増すための銀薄膜蒸着を実現するフォトマスク法を開発した。この結果、急峻性は30倍程度向上した。光機能性プローブチップの一形態として、少量の色素分子を100nm以下の曲率直径まで先鋭化したファイバプローブの先端に付着させる方法を開発した。これにより得られた色素から発する蛍光を用いて画像計測を行い、このプローブが高感度の近接場光学顕微鏡に使用可能であることを確認した。 一方、周波数変換機能を発現させるために代表的な非線形光学材料であるリチウムナイオベート(以下LNと記す)の微小結晶を超平坦サファイア基板の上に成長させ、その特性評価と、第二次高調波発生を試みた。作成したLN微結晶(面内寸法30nmx20nm)の形状を近接場光学顕微鏡にて観測することができ、面内分解能がnmオーダーに達していることが確認された。さらに入射光の偏光状態に対する画像特性依存性は我々が開発した理論結果とよく合致していることも確認された。 このLN微結晶の第二次高調波発生実験を行った。そのために幅100fsのパルスレーザー光(波長800nm)をLN微結晶に照射した。光子計数法を用いることにより発生する第二次高調波の光を観測することができた。これによりLN微結晶一個ごとに1ビットの光機能を与えることのできる可能性が確認できた。これにより本研究の目的である微小光機能素子実現の基礎が確立された。
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