研究概要 |
1.多モードレーザにおける反位相状態崩壊のシナリオ 前年度行った変調レーザ、共振器内第2高調波発生での反位相状態のモード数依存性の数値解析を更に進め、カオス的遍歴の機構、利得還流和消滅則に従うカオス同期機構、反位相状態の選択励起のための種光パルスへの要求条件(-1逆ベキ則としきい値エネルギーの存在)および異なる反位相状態間の階乗的書き換えパターンメモリ動作などを解明した。 多モードレーザーのパワースペクトルにおける普遍則 空間的ホールバーニングなどを介して大域的に結合した多モードレーザ系では、各モードはモード数Nだけの緩和振動周波数成分をもつものの、総合出力では単一モードレーザの示す唯一の緩和振動成分のみが現れ、他の緩和振動周波数成分は強く抑圧される。今年度は、N=2,3の場合について、緩和振動周波数における各発振モードのパワースペクトル強度と総合出力のパワースペクトル強度を関係づける普遍関係を解析的に導き、アルゴンレーザ励起LNPレーザにより実験的に検証した。また、一般のモード数における普遍関係を提示した。 3.カオス制御とパラメトリック共鳴 1979年に大塚が発明した『自己光混合レーザドップラー法』をアルゴンレーザ励起および前年度開発した半導体レーザ励起多モードLNPレーザに適用し、超高効率の多重周波数同時変調系を実現し、(1)周期倍化分岐を経て励起されたカオスを近分周期変調により安定化する方法を実験的に実証し、数値解析により理論的に検証した。また、(2)多モードレーザが内在するN個の緩和振動周波数付近での同時変調(一般に2^N個の変調パターン)において、変調パターンと1対1に対応したパワースペクトルが総合出力に現れるという複雑系での『自己組織的線形応答』を実験的ならびに数値的に検証した。この現象は、空間パターンの古典的秘守通信への応用可能性を示している。 4.高密度励起LNPレーザでの多モード発振の崩壊と単一モード発振 高Nd濃度に起因するオージェ再結合結果に基づく空間的ホールバーニングパターンの『2→4次の転移』を解析的に見出し、転移点に対応した臨界励起パワーはオージェパラメーターのみにより決定されるという普遍関係をLD励起LNPレーザで実験的に検証し、単一モード発振を実現した。現在、KTPによるSHGを実験中である。
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