微小な超音波モータの実現と可能性に関する研究

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 07455041
• 研究種目: 一般研究(B)
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 黒澤 実 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (70170090)
• キーワード: 超音波モータ / マイクロアクチュエータ / 弾性表面波 / PZT薄膜 / ニオブ酸リチウム / リニアモータ / 摩擦駆動 / 圧電トランスデューサ

研究概要

弾性表面波(レイリー波)素子を用いた構造のリニアモータを試作した。ステ-タ振動子用の弾性表面波素子は短冊状をしていて、両端部に励振/受信用のすだれ状電極を配した。摩擦駆動面には、コーティング処理を行ったものも検討した。このステ-タ振動子を用いて、動作状態の精密な測定を行い、ナノメータオーダーでの振動振幅による摩擦駆動の状況を詳しく検討し、最適な加圧条件と振動振幅の関係を求めた。また、過渡応答特性の測定を行い、最大化速度100G程度が可能であることを示した。また、ステ-タ振動子に関しても材料(ニオブ酸リチウム)の振動子振幅限界の測定を試みたが、短時間の駆動では限界まで加振する事はできなかった。
回転型モータに関しては、これまでに試作したのと同様な直径2.4mm長さ10mmの、PZT薄膜を用いたステ-タ振動子を用いた超音波モータの出力トルクなどの測定を行った。そのため、超精度NCにより摩擦駆動面の加工を行い、出力軸を有するモータとしての試作を行った。回転特性に関しては、改善されたが、主に圧電薄膜の特性改善によるものであった。
一方、ステ-タ振動子についてもその材料の性能は明らかになっていないので、薄膜として合成された圧電材料(PZT)そのものの特性を、電気機械変換素子として評価実験を行った。そのため、PZT薄膜の製膜プロセスと材料特性の関係を検討し、プロセスの若干の改良を行った。

研究成果

• [文献書誌] Kurosawa,M.,Watanabe,T.,Akira Futami and Higuchi,T.: "Surface acoustic wave atomizer" Sensors & Actuators. A.,50/1-2. 69-74 (1995)
• [文献書誌] Morita,T.,Kurosawa,M.and Higuchi,T.: "An ultrasonic motor using bending cylindrical transducer based on PZT thin film" Proc.of IEEE MEMS.Amsterdam. 49-54 (1995)
• [文献書誌] Kurosawa,M.,Takahashi,and Higuchi,T.: "Friction drive surface acoustic wave motor(INVITED)" Proc.of Ultrason.Int.'95,Edinburgh. (発表予定). (1995)
• [文献書誌] Takahashi,M.,Kurosawa,M.and Higuchi,T.: "Direct frictional driven surface acoustic wave motor" Proc.of Int.Conf. on Solid-state. 401-404 (1995)
• [文献書誌] 黒澤実: "小型超音波回転モータ" 精密工学会誌. 61. 1223-1226 (1995)
• [文献書誌] 森田剛、黒澤実、樋口俊郎: "PZT薄膜を用いた円筒型マイクロ超音波モータ" 精密工学会学術講演会論文集. 807-808 (1995)
• [文献書誌] 高橋正和、黒澤実、樋口俊郎: "弾性表面波モータ(第2報) -接触圧力増加による駆動特性の変化-" 精密工学会学術講演会論文集. 809-810 (1995)
• [文献書誌] 森田剛、黒澤実、樋口俊郎: "圧電薄膜を用いたマイクロ超音波モータの試作" 超音波エレクトロニクスシンポジウム講演予稿集. 295-296 (1995)
• [文献書誌] 高橋正和、黒澤実、樋口俊郎: "弾性表面波モータの駆動特性の改善" 電子情報通信学会総合大会論文集. (発表予定). (1996)
• [文献書誌] Kurosawa,M.,Takahashi,M.and Higuchi,T.: "Ultrasonic linear motor using suface acoustic wave" IEEE Trans.UFFC. (発表予定). (1996)