研究概要 |
本研究は,半導体技術に基づくマイクロマシニングで,真空トンネル電流を制御する超小型デバイスを作り,それを超高感度の変位センサとして応用することを目的としている.多結晶シリコン薄膜をエッチングして,トンネル電流検出用の探針,それを0.1nm程度の精度で動かす静電アクチュエータ,トンネルギャップを形成する対向面を作り、可動部のみを基板から分離した.全体に金などの金属膜を付加し,トンネル電流の検出と制御を試みた.今年度の成果は、以下の通り。 1.マイクロトンネルユニットの設計 まず、トンネルユニットを超小型化するときに要求される諸特性を定量的に検討した。この要求仕様を満たすマイクロトンネルユニットの設計と製作法を検討し、トンネル電流検出用の探針を基板と平行な方向に動かす構造とすると、半導体マイクロマシ-ニング技術により、静電アクチュエータ、探針を含む可動構造、探針と対向する面などを一括で製作でき、十分な特性を確保しつつ大量生産が可能になることが分かった。これに基づいて、マイクロトンネルユニットを設計した。 2.マイクロトンネルユニットの製作と動作実験 上記の設計に基くデバイスの製作プロセスおよび使用素材を実験的に定め、デバイスを製作した。特に、このような複雑な構造を基板から分離して可動にする際に、歩留りを下げる主因である付着の問題を解決するプロセスを新たに考案した。大気中でデバイスを働かせ、トンネル電流を制御できることを確かめた。
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