平成7年度では、電子パッケージ構成材料の微視的力学特性と巨視的力学特性を実験的に把握し、これら二つの特性を融合した統一型構成式を構築した。さらに、構成式を用いたはんだ材の新しい疲労寿命予測法について検討した。なお、実験は、電子デバイス微小接続部に頻繁に用いられるはんだ(60Sn-40Pb材)を用いて行った。以下にその詳細を詳述する。 1.めまぐるしく進歩する電子パッケージ構成材料の最新の力学特性や電気的特性に関するデータを収集、整理し、総括的な力学的検討、および、電子パッケージ構成材料に要求される力学特性を調査し、従来から使用されてきた電子パッケージ構成材料の力学的データを集計、整理した。この結果、申請者らがこれまでに行ってきた一般工業材料の巨視的弾塑性挙動、繰返し塑性挙動、粘性挙動、疲労ダメ-ジの累積、疲労挙動等の解析手法の適用性を確認した。そして、現実性のある実用的、具体的研究方針を明確にした。 2.電子パッケージ構成材料の主要材料である接続用はんだの巨視的力学特性の評価を行った。はんだの巨視的力学材料特性を明らかにし、巨視的弾塑性力学、粘性力学の適用性を考察した。その結果、降伏曲面や弾塑性挙動に及ぼす速度効果および温度効果の影響が明確になった。この結果に基づいて、はんだ材の巨視的挙動に関する統一型構成式を構築した。 3.塑性ひずみエネルギ密度と疲労寿命には明らかに定量的な相関関係があることを導き出し、構成式によるシミュレーションから塑性ひずみエネルギ密度を算出すれば、この関係を用いて任意のひずみ速度、ひずみ振幅の繰返し負荷を受けるはんだ材の疲労寿命予測が可能であることを明らかにした。
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