本研究は、有限要素法や差分法に代表される格子法とは異なるアプローチ、すなわちグリッドレス法をアナライザとしてCAEシステムの中核に据えることが主な目的である。グリッドレス法としては、(i)基本アルゴリズムとして移動ガラーキン法を用いる、(ii)有限要素法の剛性マトリックス作成手順を変更してグリッドレス法とする、の2つの方法を用いている。前者については、従来の手法である有限要素法との比較を行い、同等の精度が得られることを確認した。本手法では、バックグラウンドセルと称される格子状の領域が設けられその中の積分点を用いて領域積分が評価される。しかしながら、そのために、バックグラウンドセル/節点/積分点と3層のデータ構造になり、またそのため解析結果に影響を及ぼすパラメータが増えてしまうことにもなりかねない。このような背景から、第2年度目では節点ベースで積分を行うNBNメッシュレス法を新たに提唱しデータ構造の簡略化を実現した。さらに、CADシステムとの結合、ペイントブラシツールによる節点発生、などシステム化へ向けた開発を行った。一方、後者は、節点ベースのデータ構造を基にローカルかつ暫時的に要素を定義して剛性マトリックスを評価することにより、一種のメッシュレス法である。第2年度目は超並列計算機環境およびPVMを用いたクラスタ計算機環境への適用に関する研究が行われた。また、高次要素タイプのサポート、流体解析への応用、が行われた。
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