研究概要 |
シリコンウェハ加工表面に存在する種々の微小欠陥を定量的に測定評価し識別できるインプロセス計測法を確立するために偏光・回折光学系計測システムを構築し実験を行った結果次のような研究成果が得られた。 (1)シリコンウェハ加工表面に粒径1.16μm,0.635μm,0.212μmのポリスチレンラテックス標準微粒子を付着した試料表面から,いずれの粒径の場合も波状の暗輪と明輪からなるAiryデイスクのような光散乱パターンが検出された. (2)SEM観察で付着微粒子の個数を確認した後,光散乱パターン検出実験を行った結果,付着微粒子1個の場合は鮮明な真円リング像が得られるが,2個で真円の度合いがくずれはじめ,個数が増えると,割れたリングパターンあるいは渦巻き状の楕円パターンに変化することが分かった. (3)1個の微粒子が付着した試料表面からの光散乱パターンは,粒径が小さいほど光リング径が大きくなり,リング径から粒径を推定できることが分かった. (4)0.212μmのような微小な付着粒子の場合,対物レンズの倍率(X100)が高いほど,光波長(0.488nm)が短いほど鮮明な散乱パターンを得ることができる. (5)SEM観察によってシリコンウェハ表面に生じる微小なコンタミネーションからも付着微粒子と同様な散乱パターンを検出することができ,そのパターンコンタミネーションの大きさよりも濃度に影響されることが明らかになった. (6)付着微粒子,ピンホール,マイクロスクラッチなどの表面欠陥の種類によって光散乱パターンの形状は異なり識別が可能である.すなわち,ピンホールは付着微粒子と同様なリング像が検出されるが,0次光回折強度と偏光度が非常に大きいこと,またスクラッチはスリットの回折光強度分布に似た縞パターンが得られることが分かった.
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