本研究は、大量に集積した多様な知識(それも記号型知識のみならずメディア型知識も含む)をフレキシブルに利用していき、より多くの付加価値を創造していく知識集約工学(Knowledge Intensive Engineering)の考え方に基づいた機械設計支援システムを実現するための基礎研究を目的としている。具体的には以下の3点に取り組んだ。 (1)記号型知識とメディア型知識のハイパーテキスト技術とネットワーク技術に基づく統合に関する基礎研究。 (2)製品のライフサイクル全体にわたる知識を扱うための基礎研究。 (3)知識集約型機械設計支援システムの基礎技術とプロトタイプシステムの研究開発。 平成7、8年度には(1)と(3)に関して、製品のライフサイクル全体に関する記号型、メディア型知識を統一的に扱うハイパーテキスト対応型設計ドキュメントシステムを構築した。このシステムは、当研究室で別途開発した知識集約型工学のための計算機フレームワークKIEF(Knowledge Intensive Engineering Framework)の操作履歴を、ハイパーテキスト記述言語であるHTML文書として作成、編集、保存できるシステムであり、ParcPlace社製VisualWaveシステム上で稼動している。平成9年度には、このシステムの改良を行うとともに、インターネット上でWEBブラウザなどを利用して、分散した設計者がこの文書にアクセスして設計を実行することも可能にした。 また、(2)に関しては、平成8年度にライフサイクル知識の具体例(設計、生産、リサイクル等に関する知識)を例題的に文書として収集し、平成9年度には上記システム上で利用可能にした。それによって具体的な機械設計に関してケーススタディを行い、知識集約型機械設計支援システムの考え方の有効性を示した。
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