研究概要 |
原子力発電所や石油化学プラントなどの施設のパイプラインの検査および修理は致命的な事故を未然に防ぐために必要不可欠である.また,一般家屋のガス管や上下水道などのライフラインの点検保守作業も社会生活を維持するために必要不可欠である.このために,管内を移動ロボットの開発が数多く行われてきたが,大径管に対するものがほとんどで,直径20mm程度の小口径管内を移動し,かつ作業可能なロボットはいまだ実現していない. そこで本研究では,直径20mm程度の小径直管および曲管内を移動しつつ,管内壁を目視検査することのできるマイクロロボットを開発することを目的とした. まず,既に報告者らが開発してきた「ねじの原理に基づく細管内移動ロボット」をさらに小口径曲管に対応できるよう改良した.複数の「ねじの原理」の移動機構ユニットの間を接続する矩形断面ばねを小型化し,その接続部の構造を改造して可撓部を長くすることにより,最小曲率半径50mmの曲管路通過を可能にした.そして,数値シミュレーションならびに試作ロボットによる管路内での負荷走行実験を行って,走行速度の影響,付加の影響,管の曲率半径の影響などについてのロボットの走行性能を明らかにした. 次に,超小型CCDカラーカメラヘッドをロボット先端に装着するとともに,その信号線がロボット本体および本体自転駆動用のフレキシブルワイヤ中をねじられることなく通過して受像機に接続する機構を考案試作した.また,CCDカメラヘッドの周辺に数個の超小型電球を配置した超小型管内照明装置を設計製作し,ロボットに搭載し,管内検査ロボットを完成した. さらに,試作検査ロボットにより,直径24mm,曲率半径130mmの曲管路の管内移動検査を実行したところ,管内壁の鮮明なカラー画像が得られ,開発したロボットが実用上十分な管内壁検査能力があることがわかった.
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