研究課題/領域番号 |
07455073
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
塚田 忠夫 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 教授 (00016437)
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研究分担者 |
高橋 正明 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 助手 (00179524)
笹島 和幸 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 助教授 (80170702)
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キーワード | 回転精度 / 固有誤差 / 静圧軸受 / 総合評価 / ラジアルモーション / コニカルモーション / アキシャルモーション / ベクトル表示 |
研究概要 |
本研究では、系統的誤差の分離除去が高精度化に有効な空気静圧軸受を対象として、軸方向位置の異なる2断面における半径方向の変位を直交2方向で検出することにより、半径方向への並進とコニカルモーションを同時に検出し、さらに軸端で軸方向の変位を検出することにより軸方向への並進も検出し、結果として軸のすべてのエラーモーションを把握することを目的とした。 本研究では、軸心の振れの大きさと方向をX-Yチャート上にベクトル軌跡として描くことにより、リサージュによっていた従来の変位表示手法におけるあいまいさを除去し、軌跡に外接する最小円の半径によって振れを絶対的に評価し、高精度軸受の軸心の振れを前述した3成分すべてについて、同時に、厳密に定量評価する手法を確立する。 今年度は軸方向2ヵ所に取り付けたマスターボールの変位を測定し、マルチステップ法により、2個のマスターボールの形状偏差を高精度に評価・除去して、2断面における振れベクトルから軸の半径方向の並進成分と回転によるコニカルモーション成分とを独立に評価した。軸受の固有誤差のうち、コニカル成分は、その回転中心と回転角が、軸の回転とともに移動するので、その中心移動量の回転角の大きさ、方向を立体的に表示する新たな方法を検討した。実験は回転速度、回転方向、負荷などの諸因子を変えて行ない、それらの関係を求めた。 研究は概ね予定通り実施された。本研究で取り上げた空気静圧軸受の回転誤差は、1回転を周期とする繰り返し再現性のあるものが主流であるが、その大きさと方向は従来のリサージュ法では正確に表せないことが明らかとなり、本研究で想定していた問題が明確となった。しかし、回転速度の変化に伴いその挙動は微妙に変化し、それらを総合的に扱うには、ダイナミカルシステムとして運動の解析を行なう必要のあることも判り、より高精度の軸受運動を議論する上ではさらに詳細な検討が必要であり、今後に課題が設定されることも併せて明らかとなった。
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